阿南市は、県南東部、那賀川下流に立地し、橘湾に臨む。東は紀伊水道、南は美波町及び太平洋に臨み、西は那賀町、北は小松島市及び勝浦町と接する。
 西部の四国山系の東端に連なる山地と東部の那賀川水系により形成された沖積平野と三角州からなり、市域の大部分が山地部。JR牟岐線、国道55号が南北に走り、国道55号から国道195号が分岐する。
 市街地は北の富岡と南の橘からなり、富岡は藩政初期に阿波九城の一つ牛岐城の小城下町として発達し中央に城跡を残す。橘湾は古くから阿波水軍の根拠地で、藩政期には塩田も開発された。天然の良港として古代から漁業が行われていたが、今日では工業立地及び西日本を代表する電源立地の拠点となっている。旧城下町の富岡町周辺には中心市街地が、阿波三港の一つとして栄えた橘町には副都心的市街地が形成されている。
 那賀川下流低地は米作の中心でキュウリ、イチゴ栽培が行われ、沿岸部ではワカメ、ノリ養殖が行われている。山麓ではミカンが栽培され、缶詰の食品工業が多い他、タケノコも特産。沿岸部には化学工業、製紙、食品加工などの工場が進出する他、橘湾石炭火力発電所が立地。
 湾内は島が多く「阿波松島」とよばれ、室戸阿南海岸国定公園の一部。津峯にはスカイラインが通じ、その山頂からは橘湾内の展望がよい。四国八十八カ所札所の太龍寺、平等寺等がある。

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