つるぎ町
印刷するつるぎ町は、県中西部に位置し、美馬市、三好市、東みよし町と接している。
南北に流れる貞光川と半田川、北部を西から東に流れる吉野川によって形成された狭小な平野部に人口の6割が集中。剣山登山玄関口の一つで、町名も剣山に因む。南部は剣山国定公園の指定域。
吉野川沿いにJR徳島線と国道192号、貞光川沿いに国道438号が走る。
平野部からは縄文時代の遺物が多く出土している。江戸時代には葉藍、葉タバコといった商品作物栽培や紙漉が盛行したが、明治時代後半になると葉藍栽培は衰退し養蚕が盛んとなり、大正時代には貞光に製糸工場も設置された。近年は養蚕、葉タバコ栽培ともに低迷している。山間地域は大和朝廷の祭司を司る阿波忌部氏の神域であったとされ、 神聖な地域であったと言われている。
現在は柿、柚子などの果樹や茶の栽培、ハウス園芸、軽量多品目の山間野菜の栽培、養鶏などが盛ん。半田地区は江戸後期に発祥した「半田そうめん」と「半田漆器」の生産地 で、特に「半田そうめん」はつるぎ町の特産品として全国展開している。
葉たばこ集積地で商業地域のひとつだった貞光市街には往時の繁栄を伝える「二層うだつの町並み」 があり、その景観は文化遺産となっている。幹回り日本一ともいわれる一宇蔭の赤羽根大師のエノキ(国指定天然記念物)、白山神社のモミ、桑平のトチノキ、奥大野のアカマツ(いずれも県指定天然記念物)など「巨樹王国」としても知られる。桑平には剣山スキー場がある。斜度30度以上の急傾斜地という世界的にも稀有な傾斜地農業が残る地域として、2017(平成29)年3月「日本農業遺産」、2018(平成30)年3月に「世界農業遺産」の認定を受けている。