神谷神社かんだにじんじゃ

坂出市の東部、高松市との境界に位置する五色台の麓にあり、延喜式にも記載がある古社である。本殿は高さ1.5mほどの石積みの基壇の上に立ち、桁行3間、梁行2間の母屋から庇(向拝)を前方に伸ばしている。棟木(むなぎ)に書かれた墨書銘から1219(建保7)年の建立であり、造営年の明らかな神社建築では日本最古であり、国宝に指定されている。檜皮葺の屋根、身舎(もや)の槍鉋(やりがんな)仕上げの丸柱、向拝の角柱の面取りなどに鎌倉時代の建築様式がよく表現されている。
 また、社宝の2体の木造随神立像*は高さ約1.3mの像で、本殿の造営と同時期に作られたものとして希少性が高いとされる。
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みどころ

五色台の麓の集落が尽きた森の縁にひっそり佇む古い神社である。社の奥には巨石信仰の跡があり、厳かな雰囲気に包まれている。国宝の本殿は拝殿の奥にあり、塀に囲まれていて全容を眺めることは容易ではないが、分厚い檜皮葺の屋根の力強い反りに鎌倉時代の神社建築らしい剛健さを十分に感じられる。神社は建て替えられることが多いため、現存する古い時代の建造物が少なく、大変貴重である。
 神社の脇の登山道は五色台の遍路道へと連なっており、パワースポット巡りのハイキングが可能である。(勝田 真由美)
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補足情報

*三間社流造:流造とは神社建築形式の一つで、切妻造平入りの前面の屋根を長く延ばしたものであり、この形式で正面の柱が4本、柱間の間口が3間あるものを三間社流造という。
*随身像:仏教寺院における金剛力士像にあたるもので、金剛力士像と同じく阿形と吽形の二体がセットで存在する。