北長門海岸国定公園の東端。須佐湾の東、標高532.8mの高山（こうやま）＊が日本海に突き出した西麓に縞模様がくっきりとした須佐ホルンフェルスと呼ばれる海食崖がある。JR山陰本線須佐駅から北へ約4kmの道のり。
　須佐ホルンフェルスは、海底に堆積した須佐層群（砂泥互層）に対し、約1,500万年前に高温の火成岩体［高山（こうやま）斑れい岩］ が貫入したことによる変成作用で生成された。高山（こうやま）斑れい岩が接触した部分から外側へ向かって、変成鉱物の組成が異なるホルンフェルス＊が帯状に分布している。須佐湾でもっとも典型的な事例は、縞模様がはっきりと残る高さ約12ｍの海食崖・畳岩の北側に張り出した海食崖で、白と暗褐色の2層に分かれているところである。逆に、幾何学模様に近い模様がはっきり分かれている海食崖・畳岩は、とくに変成温度が低く、砂岩と泥岩が交互に堆積したもともとの須佐層群に近い状態がそのまま保たれている。いずれも地質学的にも貴重なものである。
　縞模様がはっきりしている海食崖は、古くから畳岩と称され、その先端部で海に落ち込んでいく平坦な部分は千畳敷と呼ばれている。