古墳には墳丘に登る階段と頂上部（高さ約36ｍ）をめぐる歩道が整備されている。前方部には荒神社があり、その横には阿蘇の凝灰岩でつくられた石棺が置かれている。ビジターセンターでは、古墳が造られた頃の時代背景や周辺の陪塚について解説している。陪塚の一つである千足古墳が復元整備され、2023年に石室内を見学できるようになった。直弧文のある石障は劣化のため別の場所に保管され、レプリカが展示されている。石室には香川県産や九州産の石材が使われており、別の陪塚の榊山古墳からは中国・朝鮮半島に類例のある装飾金具が見つかっていることから、当時の吉備地方は幅広い地域との交流があったことがうかがえる。
　造山古墳の西4km（JR総社駅からは東に約3.5km）にある作山古墳は、5世紀中ごろに築かれた全長 286mの前方後円墳で、県内では造山古墳についで大きい（全国第10位）。造山古墳と作山古墳のほぼ中間には、6世紀後半につくられたこうもり塚古墳がある。墳長約100mの前方後円墳で、後円部には全長19.4mの巨大な横穴式石室が南向きに開口しており、遺体が安置されていた玄室の手前まで入ることができる。玄室の中央には、石灰岩の一枚岩をくり抜いて造った家形石棺が安置されている。
　これらの古墳は自転車道＊4沿いにあり、ルート上には備中国分寺、吉備津神社などもある。道中はなだらかで、乗り捨て可能なレンタサイクルもあり、田園風景を眺めながら吉備路の歴史スポットをめぐるのもよい。