鶴林寺
JR神戸線加古川駅から南へ2km、山陽電鉄尾上の松駅から北へ1.2kmの所にある古刹。創建については、定かではないが、江戸時代に記された「鶴林寺縁起」では、高麗出身の高僧恵便が蘇我氏と物部氏の争いからこの地に隠遁したため、589(崇峻天皇2)年に聖徳太子が、秦河勝に命じて創建*1したと伝え、はじめは刀田山四天王聖霊院と称した。後に七堂伽藍も整備され、1112(天永3)年には鳥羽天皇の勅願により鶴林寺と改めたとしている。鎌倉・室町時代に入ると太子信仰の高まりにより同寺は最盛期となり、寺坊三十数ヵ坊にも及んだが、戦国時代以降衰微し、江戸時代には寺坊も8坊にまで減少した。江戸後期の「播州巡覧名所図絵」にはすでに現在とほぼ同じ伽藍配置となっていることが分る挿絵が掲載されている。現在も明治期の廃仏毀釈も乗り越え、約5万m2の境内に、国宝に指定されている室町期造営の本堂*2、平安期築造の太子堂*3、同じく国指定重要文化財の平安期建造の常行堂*4をはじめ、護摩堂*5・行者堂*6・鐘楼*7の諸堂が建ち並ぶ。
また、寺宝の聖観音像*8は白鳳時代のものとみられ、その他多くの仏像、太子信仰に関わる絵画などが遺されており、諸堂や宝物館*9に収蔵されている。宗派は当初は法相・三論兼宗だったとされるが、その後、天台宗となった。入山、宝物館ともに有料。
また、寺宝の聖観音像*8は白鳳時代のものとみられ、その他多くの仏像、太子信仰に関わる絵画などが遺されており、諸堂や宝物館*9に収蔵されている。宗派は当初は法相・三論兼宗だったとされるが、その後、天台宗となった。入山、宝物館ともに有料。

みどころ
境内へは、室町期造立のがっちりとした二層の仁王門をくぐると、正面に国宝の本堂がどっしりと甍を広げ、さらに左側にはすっきりとした立ち姿が美しい朱塗りの三重塔が建つ。この塔も室町期の建立で江戸期と昭和期に大修理が入っているという。国宝の本堂に向かう前にこの三重塔の裏手にある行者堂にも回っておきたい。小さな造りではあるが、神仏習合の名残りがわずかながら感じられる。行者堂から本堂に向かう途中にあるのが常行堂だ。常行堂は、蔀戸や板扉で囲われ、本堂のような大きさはないが、簡素で落ち着いた雰囲気の建物だ。
本堂は大屋根の重厚さがよく、禅宗様式の影響を受け質実さが現れている和様との折衷様式の外観だ。本尊は秘仏なので60年に1回か、特別公開の際にしか拝観はできないが、入堂は可能だ。本堂右手にはこれも国宝の太子堂。こちらは桧皮葺きの屋根で本堂とは異なり、両側面の屋根にうねりも見られ、柔和な印象を受ける。その裏手には朝鮮鐘が吊るされた鐘楼が建つ。さらに右手には観音堂、護摩堂と続く。護摩堂では、鬼瓦の上にひょこりと鋭く頭をもたげる鳥衾瓦に着目すると面白いかもしれない。
最後に釈迦三尊像など寺宝を展示する宝物館に立ち寄ると良い。境内には、国宝、国の重要文化財に指定された堂宇が建ち並び、圧巻ではあるが、広い境内と質実簡素な建造物なので、全体としては伸びやかな感じを受ける。
本堂は大屋根の重厚さがよく、禅宗様式の影響を受け質実さが現れている和様との折衷様式の外観だ。本尊は秘仏なので60年に1回か、特別公開の際にしか拝観はできないが、入堂は可能だ。本堂右手にはこれも国宝の太子堂。こちらは桧皮葺きの屋根で本堂とは異なり、両側面の屋根にうねりも見られ、柔和な印象を受ける。その裏手には朝鮮鐘が吊るされた鐘楼が建つ。さらに右手には観音堂、護摩堂と続く。護摩堂では、鬼瓦の上にひょこりと鋭く頭をもたげる鳥衾瓦に着目すると面白いかもしれない。
最後に釈迦三尊像など寺宝を展示する宝物館に立ち寄ると良い。境内には、国宝、国の重要文化財に指定された堂宇が建ち並び、圧巻ではあるが、広い境内と質実簡素な建造物なので、全体としては伸びやかな感じを受ける。

補足情報
*1 創建:「鶴林寺縁起」では同寺の始まりを6世紀と伝えているが、「加古川市史」によると「現在の寺域からは、飛鳥時代はおろか奈良時代にまで遡り得る古瓦は全く発見されていない」として、少なくともこの地には寺院が存在していなかったと推定している。また、8世紀に七堂伽藍が整備されたと伝えられているものの、これも願主の動向から平安後期ではないかと推測している。なお、国宝の太子堂(当初は法華堂)については1112(天永3)年造営の所伝があるが、これについては建築様式手法からみて妥当だとしている。ただ、この東播磨には法隆寺領が古くあったことから、同寺の前身となる寺院が平安期以前からこの地近辺に存在していたのではないかとの推論もある。
*2 本堂:正面7間、側面6間の入母屋造、本瓦葺。和様、唐様、大仏(天竺)の折衷様式の代表的なもので、内陣宮殿(くうでん)の棟札に『応永4年(1397)』の銘がある。軒まわりに和様枓栱(柱の最上部:肘木と斗【ます】)を組み、その内に唐様の双斗(斗を2つとする様式)をおいているのが珍しい。内陣の中央に、須弥壇と厨子があり、本尊薬師如来と脇侍の日光菩薩 月光菩薩 持国天 多聞天が安置され、60年に1回の開帳とする秘仏となっている。前立ちに日光菩薩、月光菩薩、十二神将が配されている。
*3 太子堂:正面3間、側面4間で、宝形造桧皮葺。1112(天永3)年の造営。天井は小組格天井。須弥壇の後方の板壁には表に九品来迎図、裏に涅槃図、天井小壁には飛天図が遺されている(煤けて肉眼では見えない)とされる。安置の仏像は釈迦三尊像。ただし、実物は宝物館に収蔵。
*4 常行堂:桁行四間、梁間三間、一重、寄棟造、妻入。太子堂とほぼ同時代の建立。当初は太子堂と同じ桧皮葺であったものを1566(永禄9)年に瓦屋根に葺き替えた。この堂では、「常行三昧(じょうぎょうざんまい)」という、口で阿弥陀仏を唱え、心に阿弥陀仏を思いながら、休むことなく何十日も歩き巡る厳しい修行が行われた。その遺構としては日本最古のものである。(加古川市教育委員会WEBサイト参照)
*5 護摩堂:桁行三間、梁間三間、一重、入母屋造、本瓦葺。棟札の墨書によると、1563(永禄3)年の建立。建築様式は、和様を基調とする折衷様式。本尊は不動明王。
*6 行者堂:1406(応永13)年の造営。一間社隅木入春日造、背面入母屋造、本瓦葺。神仏習合の考えから堂の前に鳥居が立っており、「鶴林寺」の鎮守として「日吉神社」が建てられたのが始まり。その後明治期に神仏分離の影響から役行者を祀る「行者堂」となった。本尊は神変大菩薩(役行者)。
*7 鐘楼:1397(応永4)年に建立。本堂の意匠とも共通している。桁行3間、梁間2間の二層。建物下部は袴腰で、屋根は本瓦葺入母屋造。梵鐘は、11 世紀後半に高麗で制作されたと考えられている朝鮮鐘。
*8 金銅聖観音立像:白鳳期作。像高83cm。すらっとした立ち姿で天衣は流麗。別名「あいたた観音」。
*9 宝物館:金銅聖観音立像、釈迦三尊像、聖徳太子像、聖徳太子絵伝等の重要文化財等を展示(レプリカ展示有り)。有料。
*2 本堂:正面7間、側面6間の入母屋造、本瓦葺。和様、唐様、大仏(天竺)の折衷様式の代表的なもので、内陣宮殿(くうでん)の棟札に『応永4年(1397)』の銘がある。軒まわりに和様枓栱(柱の最上部:肘木と斗【ます】)を組み、その内に唐様の双斗(斗を2つとする様式)をおいているのが珍しい。内陣の中央に、須弥壇と厨子があり、本尊薬師如来と脇侍の日光菩薩 月光菩薩 持国天 多聞天が安置され、60年に1回の開帳とする秘仏となっている。前立ちに日光菩薩、月光菩薩、十二神将が配されている。
*3 太子堂:正面3間、側面4間で、宝形造桧皮葺。1112(天永3)年の造営。天井は小組格天井。須弥壇の後方の板壁には表に九品来迎図、裏に涅槃図、天井小壁には飛天図が遺されている(煤けて肉眼では見えない)とされる。安置の仏像は釈迦三尊像。ただし、実物は宝物館に収蔵。
*4 常行堂:桁行四間、梁間三間、一重、寄棟造、妻入。太子堂とほぼ同時代の建立。当初は太子堂と同じ桧皮葺であったものを1566(永禄9)年に瓦屋根に葺き替えた。この堂では、「常行三昧(じょうぎょうざんまい)」という、口で阿弥陀仏を唱え、心に阿弥陀仏を思いながら、休むことなく何十日も歩き巡る厳しい修行が行われた。その遺構としては日本最古のものである。(加古川市教育委員会WEBサイト参照)
*5 護摩堂:桁行三間、梁間三間、一重、入母屋造、本瓦葺。棟札の墨書によると、1563(永禄3)年の建立。建築様式は、和様を基調とする折衷様式。本尊は不動明王。
*6 行者堂:1406(応永13)年の造営。一間社隅木入春日造、背面入母屋造、本瓦葺。神仏習合の考えから堂の前に鳥居が立っており、「鶴林寺」の鎮守として「日吉神社」が建てられたのが始まり。その後明治期に神仏分離の影響から役行者を祀る「行者堂」となった。本尊は神変大菩薩(役行者)。
*7 鐘楼:1397(応永4)年に建立。本堂の意匠とも共通している。桁行3間、梁間2間の二層。建物下部は袴腰で、屋根は本瓦葺入母屋造。梵鐘は、11 世紀後半に高麗で制作されたと考えられている朝鮮鐘。
*8 金銅聖観音立像:白鳳期作。像高83cm。すらっとした立ち姿で天衣は流麗。別名「あいたた観音」。
*9 宝物館:金銅聖観音立像、釈迦三尊像、聖徳太子像、聖徳太子絵伝等の重要文化財等を展示(レプリカ展示有り)。有料。
関連リンク | 鶴林寺(WEBサイト) |
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参考文献 |
鶴林寺(WEBサイト) 「加古川市史」加古川市史編さん専門委員 編 1989年 296/358等 国立国会図書館デジタルコレクション 「播州巡覧名所図会」秦石田 著、中井藍江 画、校訂: 井口洋 131/248 国立国会図書館デジタルコレクション 「指定文化財、登録文化財 鶴林寺本堂、太子堂等」(加古川市教育委員会/加古川市)(WEBサイト) |
2025年03月現在
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