先斗町の街並みぽんとちょうのまちなみ

先斗町は京都五花街*のひとつ。三条通の1筋南から四条通まで、鴨川沿いに南北に約500m続く先斗町通の両側一帯をいう。なお「先斗町」という行政上の地名はない。幅2mほどの通りの両側に、お茶屋*や料亭、レストラン、バーなどがびっしりと並んでいる。
 花街としての歴史は、1712(正徳2)年頃、高瀬川*を行き来する高瀬舟の船頭や旅客客目当ての旅籠屋が、茶立て女を置いたのが始まりとされる。幕末には芸者取り扱いの公許を得て、祇園と並ぶ花街として広く知られるようになった。
 先斗町という名は、ポルトガル語のponta(先)・ponto(点)・ponte(橋)に由来するという説がある。また、町の東に鴨川、西に高瀬川が流れるのを、川(皮)に挟まれた鼓になぞらえ、叩くと出る「ポン」の音をもじったともいうが、定かではない。
 先斗町通の北端には先斗町歌舞練場*があり、毎年5月に開催される「鴨川をどり」は京の春の風物詩として親しまれている。また、通りの東側、鴨川沿いにある店は、5月1日~10月15日に夏の風物詩の納涼床を設ける店舗が多い。
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みどころ

お茶屋や飲食店などに利用されている紅殻格子(べんがらこうし)の京町家が、石畳舗装された狭い通りの両側にひしめき、情緒ある街並みを形成。夜には、先斗町の紋章である千鳥を描いた提灯が各店に灯り、しっとりした雰囲気となる。2021(令和3)年には通りの無電柱化が完了、空中の電線もなくなり、すっきりとした。この町は東西の路地が多いのも特徴で、それぞれ番号が付けられている。路地の入口にはその番号が記され、1筋西の木屋町通に抜けられる路地もあるが、番号横に「×」が付いていれば通り抜けできない。先斗町は狭い路地の魅力*にあふれている。
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補足情報

*京都五花街:京都には花街が5つある。先斗町のほかは、祇園甲部、祇園東、宮川町、上七軒。
*お茶屋:芸妓や舞妓が客をもてなす場。芸妓らはお茶屋に常にいるわけではなく、置屋(おきや)に所属。お茶屋に予約が入ると、置屋から出向く。
*高瀬川:先斗町の西側、木屋町通に沿う運河。南流し、伏見で宇治川に合流する。1611(慶長16)年頃、物資運送の便を図るため、京都の豪商・角倉了以が鴨川の水を引いて開いた。水深が浅いため、底が平たく喫水の浅い小舟「高瀬舟」が運航。それが川の名となった。
*先斗町歌舞練場:1927(昭和2)年完成、鉄筋コンクリート造り4階建ての装飾性豊かな近代建築で、先斗町のランドマークとなっている。ふだんは芸妓・舞妓の稽古などに利用され、毎年5月1~24日には鴨川をどりが開催される。
*路地の魅力:アメリカの女性ノンフィクション作家で都市学者であるジェイン・ジェイコブスが1961年に著作した「アメリカの大都市の死と生」で住みやすく、文化的香りの高い、人間的な魅力をそなえた都市の特徴を実証的に調査した結果を記述している。具体的には「町並みは狭くて、折れ曲がっていて、一つ一つのブロックが短い方が魅力的である」、「さまざまな種類のものがたくさん混ざっている方が魅力的である」などと指摘している。
関連リンク 先斗町のれん会(WEBサイト)
参考文献 先斗町のれん会(WEBサイト)
先斗町まちづくり協議会(WEBサイト)

2025年05月現在

※交通アクセスや料金等に関する情報は、関連リンクをご覧ください。

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