南駒ヶ岳みなみこまがたけ

中央アルプスの主要山脈の南に位置し、空木岳に寄り添うように立ち、2つのピークを持つどっしりした山容で、2,841mの山。中央アルプスの縦走では木曽駒ヶ岳から空木岳までが一般的で、南駒ヶ岳まで足をのばす人は少ない。樹林帯の多い周辺の山々の中でも、頂上付近や尾根筋は白い花崗岩とハイマツによって明るく開放的な山で、岩場の山としても一部の人には人気がある。
#

みどころ

森林限界を超えたハイマツと花崗岩がまずもって美しい。また、中央アルプス最南の氷河地形である摺鉢窪(すりばちくぼ)カールが頂上の東側直下にあり、その景観と高山植物の広大な花畑が見事である。特にクロユリの群落は珍しい。このカールには、春になると五人坊主の雪形が現れ、里人たちはこれを農作業の目安としてきた。
 伊那谷などの夜景もが魅力である。またカールの最下部の緩やかな斜面の終焉に迫る大岩壁の百間ナギの怖さとが対照的である。なお、カールの下部に摺鉢窪避難小屋があるが、カールは崩落の恐れがあるため立ち入り禁止。小屋は利用出来ない。
 空木岳と同じく山頂からの眺望は素晴らしい。また逆に中央アルプスを望むのであれば、中川村の陣馬形山キャンプ場がお勧めであり、宝剣岳から空木岳、南駒ヶ岳のパノラマが伊那谷の上にそびえ美しい。(林 清)