瀧谷寺たきだんじ

真言宗智山派の寺。えちぜん鉄道三国芦原線三国駅の北500mの丘陵上にあり、昼でもほの暗い杉木立ややぶツバキに囲れたゆるやかな笏谷石(しゃくだにいし)の石畳の参道を登りきると、山門(鐘楼)に至る。山門をくぐると、正面右手から観音堂、本堂、庫裏が並ぶ。観音堂正面には、前庭園石庭がある。国指定名勝の庭園*は本堂より書院ににわたって丘陵の斜面に築造されている。宝物殿があり、国宝の中国の打楽器である金銅毛彫宝相華文磬*、重要文化財などの古文書や仏画等を収蔵し、常時一部公開している。建物の重要文化財指定は鎮守堂だけであったが、2017(平成29)年に本堂・観音堂・開山堂・鐘楼門も国の重要文化財の指定を受けている。
 寺は1375(永和元)年、睿憲により創建され、歴代領主の祈願所として栄える。天正年間(1573~1592年)に柴田勝家が鐘楼門を寄進したとも伝える。6月第3日曜日には火渡りが行われる。
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みどころ

笏谷石は、足羽川から九頭竜川を舟で運ばれたためか、町内の旧家の土間にも多く見られる。石が柔らかいためか、現在、当寺の参道の石畳には緑色のシートが引かれているが、雨にぬれると青味を帯びたきれいな色になるので注目したい。(溝尾 良隆)
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補足情報

*庭園:国指定名勝の庭園。江戸中期の作と推定される約1,700m2の山水庭園で、本堂から書院の西側にわたる丘陵斜面に築庭されている。山腹の露岩を利用した小池や矮樹を配し、四季折々に異なった景観を見せてくれる。
*金銅毛彫宝相華文磬(こんどうけぼりほうそうげもんけい):磬は古代中国の打楽器で、仏具として移入されたものである。この磬は、高さ9.5cm、裾張り27cm、全面に鍍金され、線刻で宝相華文を鋳出している。
*宝相華文:中国では唐・宋代、日本では奈良時代から平安時代に流行した文様である。宝相華は極楽に咲く架空の花といわれるが、ボタンイバラのことではないかともいわれる。
関連リンク 瀧谷寺(WEBサイト)
参考文献 瀧谷寺(WEBサイト)
参拝のしおり「瀧谷寺」
『福井県の歴史散歩』山川出版社、2010年

2022年06月現在

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