すみだ北斎美術館すみだほくさいびじゅつかん

JR両国駅から徒歩9分、都営地下鉄大江戸線両国駅から徒歩5分の距離にあり、国技館と江戸東京博物館の東側に位置している。葛飾北斎は、1760(宝暦10)年に現在の墨田区に生まれ、90年の生涯のほとんどを墨田区内で過ごしながら、数多くの作品を残した。また、およそ90年の生涯のうち90回以上も引っ越しをしたと伝えられている。
 この美術館では、北斎及び門人の作品を実物大高精細レプリカで紹介するほか、北斎と「すみだ」との関わりなどについて紹介している。建物は地下1階、地上4階、建築延べ床面積は3,278.9m2。建築設計者は、妹島和世(せじまかずよ)*。
 北斎の作品はビーター・モース*コレクションや楢﨑宗重(ならざきむねしげ)*コレクションをはじめ、高名な研究者から譲り受けたものが多数あり、この美術館で収納、紹介されている。
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みどころ

欧米における北斎の個人収集としては最高・最大のピーター・モースコレクションを収蔵している。ホノルル美術館副主任研究員等を歴任したモースによる研究者の目で収集された希少価値の高い作品が多く含まれていることが特徴である。モースの急逝後、遺族がそのコレクションの散逸を惜しみ北斎美術館の計画を理解したうえで、600点近い北斎の作品や研究資料を一括して墨田区に販売譲渡したという。
 楢﨑宗重コレクションは研究活動の中で収集・所蔵していたもので、浮世絵版画や関連資料、古美術から浮世絵まで幅広い。北斎美術館開設の趣旨に賛同していた同氏から1995(平成7)年に一括して寄贈された。
 そのほか、関東大震災で焼失した「須佐之男命厄神退治図」の推定復元図が展示されている。この絵は126cmx276cmと北斎最大級の作品といわれている。
 「北斎を学ぶ部屋」では、オリジナル作品を保護するため実物大高精細レプリカを展示しているが、企画展では版画や浮世絵の実物が展示されることが多く、見ごたえがある。
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補足情報

*妹島和世:1956-。茨城県出身の建築家。プリツカー賞、日本建築学会賞、吉岡賞他多数受賞。SANAAを西村立衛と共同で運営する。主な作品はSEA BIRDS CAFE(日立駅直結のカフェ)、金沢21世紀美術館など。
*ビーター・モース:1935~1993。東西の版画芸術を研究する一方、葛飾北斎の一大コレクターとして有名。大森貝塚を発見したエドワード・S・モースの血縁にもあたる。
*楢﨑宗重:1904~2001(明治37~平成13)年。浮世絵の研究者で著書や研究論文が多数あり、浮世絵研究の日本での第一人者と言われている。
関連リンク すみだ北斎美術館(WEBサイト)
参考文献 すみだ北斎美術館(WEBサイト)
GO TOKYO(WEBサイト)
「東京ミュージアムガイド」朝日新聞出版

2025年06月現在

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