出光美術館
出光興産創業者の出光佐三(1885-1981)が蒐集した美術品を公開するために、1966(昭和41)年に開館した美術館*1である。
コレクションは、東洋の古美術、特に日本の書画と中国・日本の陶磁器を系統的に蒐集したものであり、国宝2件、重要文化財57件を含む約1万件の美術品を所蔵している。著名な作品としては、日本四大絵巻の一つである伴大納言絵巻(国宝、平安時代)、江戸時代の仙厓義梵(せんがいぎぼん)*2の書画約1,000件を有する他、洋画ではジョルジュ・ルオー*3の作品で知られている。
なお、所在していた帝劇ビルの建替に伴い、2025(令和7)年1月より長期休館中である。
コレクションは、東洋の古美術、特に日本の書画と中国・日本の陶磁器を系統的に蒐集したものであり、国宝2件、重要文化財57件を含む約1万件の美術品を所蔵している。著名な作品としては、日本四大絵巻の一つである伴大納言絵巻(国宝、平安時代)、江戸時代の仙厓義梵(せんがいぎぼん)*2の書画約1,000件を有する他、洋画ではジョルジュ・ルオー*3の作品で知られている。
なお、所在していた帝劇ビルの建替に伴い、2025(令和7)年1月より長期休館中である。

みどころ
休館前の出光美術館の見どころは、出光コレクションの中核を成す東洋の古美術・工芸を中心とした展覧会*4が多いこと、そして、そこでは丁寧な展示と詳細な解説がなされているところにあった。
一例として2023(令和5)年度の「青磁」展では、青磁の起源から発展、伝播の歴史を中国・朝鮮・日本の陶磁器を通して理解することができるものであり、青磁に興味の薄い人でも文化の歴史としても楽しむ工夫がなされていた。また、学芸員によるギャラリートーク(予約不要・入館料のみ)や特別講座(有料)なども行われている。小規模な美術館ではあるものの、このような展示の姿勢は美術ファンにとっては知的好奇心を満足させられる魅力であるとともに、あまり美術に接していない人々にとっても新たな発見が得られる美術館であった。
一例として2023(令和5)年度の「青磁」展では、青磁の起源から発展、伝播の歴史を中国・朝鮮・日本の陶磁器を通して理解することができるものであり、青磁に興味の薄い人でも文化の歴史としても楽しむ工夫がなされていた。また、学芸員によるギャラリートーク(予約不要・入館料のみ)や特別講座(有料)なども行われている。小規模な美術館ではあるものの、このような展示の姿勢は美術ファンにとっては知的好奇心を満足させられる魅力であるとともに、あまり美術に接していない人々にとっても新たな発見が得られる美術館であった。

補足情報
*1 出光美術館といえば一般には東京の本施設を指すが、出光佐三ゆかりの北九州市に分館とも言える「出光美術館(門司)」がある。2000(平成12)年に門司港レトロ地区に開館し、年5~6回の展覧会が開催されている。出光興産の創業者である出光佐三の生涯の軌跡を紹介する出光創業史料室を併設している。
*2 仙厓義梵(せんがいぎぼん)(1750《寛延3》年~1837《天保8》年):江戸時代の臨済宗古月派の禅僧・画家であり、禅味溢れる書画で知られる。農民井藤甚八の子として美濃国武儀郡で生まれ、11歳の頃、臨済宗の僧となったと言われる。19歳の時、武蔵国の東輝庵(神奈川県)で修行を始め、32歳のとき同寺を出て行脚の旅に出、39歳より博多の聖福寺の法嗣となる。以降、洒脱・飄逸な禅画を本格的に描き始め、没年まで多くの作品を残している。昭和初期にその価値が再発見された。出光佐三がそのコレクターとして著名であり、出光美術館には約1,000件が収蔵されている。
*3 ジョルジュ・ルオー(1871~1958年):フランスの画家。ステンドグラス職人から始まり、象徴派のギュスターブ・モローに師事し、輪郭線が太く厚塗りの油絵が特徴。中期の版画、後期の宗教画(キリスト教)が著名であり、市井の人々を描いた作品が多い。出光美術館では、中期の銅版画集「ミセレーレ(1923)」、中後期の連作油彩画「受難(1935)」、「優しい女(1939)」、「聖書の風景(1953-56)」等を所蔵している。
*4 過去の展覧会のテーマとその切り口:
(2023年)
茶の湯の床飾り-茶席をかざる書画、尾形乾山生誕360年 琳派のやきもの-響きあう陶画の美、日本の美・鑑賞入門 しりとり日本美術「繰り返し登場するテーマや図柄-発見を楽しむ夏休み企画」、江戸時代の美術-「軽み」の誕生「絵画と書跡を中心に つまらない美意識 によって貫かれた美術の世界を紹介」、青磁-世界を魅了したやきもの
(2022年)
国宝手鑑「見努世友」と古筆の美、生誕150年 板谷波山-時空を超えた新たなる陶芸の世界、仙厓のすべて、惹かれあう美と創造-陶磁の東西交流、江戸絵画の華 〈第1部〉若冲と江戸絵画 〈第2部〉京都画壇と江戸琳派
*2 仙厓義梵(せんがいぎぼん)(1750《寛延3》年~1837《天保8》年):江戸時代の臨済宗古月派の禅僧・画家であり、禅味溢れる書画で知られる。農民井藤甚八の子として美濃国武儀郡で生まれ、11歳の頃、臨済宗の僧となったと言われる。19歳の時、武蔵国の東輝庵(神奈川県)で修行を始め、32歳のとき同寺を出て行脚の旅に出、39歳より博多の聖福寺の法嗣となる。以降、洒脱・飄逸な禅画を本格的に描き始め、没年まで多くの作品を残している。昭和初期にその価値が再発見された。出光佐三がそのコレクターとして著名であり、出光美術館には約1,000件が収蔵されている。
*3 ジョルジュ・ルオー(1871~1958年):フランスの画家。ステンドグラス職人から始まり、象徴派のギュスターブ・モローに師事し、輪郭線が太く厚塗りの油絵が特徴。中期の版画、後期の宗教画(キリスト教)が著名であり、市井の人々を描いた作品が多い。出光美術館では、中期の銅版画集「ミセレーレ(1923)」、中後期の連作油彩画「受難(1935)」、「優しい女(1939)」、「聖書の風景(1953-56)」等を所蔵している。
*4 過去の展覧会のテーマとその切り口:
(2023年)
茶の湯の床飾り-茶席をかざる書画、尾形乾山生誕360年 琳派のやきもの-響きあう陶画の美、日本の美・鑑賞入門 しりとり日本美術「繰り返し登場するテーマや図柄-発見を楽しむ夏休み企画」、江戸時代の美術-「軽み」の誕生「絵画と書跡を中心に つまらない美意識 によって貫かれた美術の世界を紹介」、青磁-世界を魅了したやきもの
(2022年)
国宝手鑑「見努世友」と古筆の美、生誕150年 板谷波山-時空を超えた新たなる陶芸の世界、仙厓のすべて、惹かれあう美と創造-陶磁の東西交流、江戸絵画の華 〈第1部〉若冲と江戸絵画 〈第2部〉京都画壇と江戸琳派
関連リンク | 公益財団法人出光美術館(WEBサイト) |
---|---|
参考文献 |
公益財団法人出光美術館(WEBサイト) 美術手帖(WEBサイト) 「東京のミュージアム100」芸術新潮編集部編 新潮社 「日経五つ星の美術館」日本経済新聞社 「全国博物館総覧」日本博物館協会編 ぎょうせい |
2025年06月現在
※交通アクセスや料金等に関する情報は、関連リンクをご覧ください。