小笠原の見送り
小笠原諸島は、東京から南約1,000kmの太平洋上に散在する多くの島々の総称で、小笠原群島(聟島、父島、母島列島)、火山列島(硫黄列島)、三つの孤立島(西之島、南鳥島、沖ノ鳥島)から成る。誕生以来、一度も大陸と陸続きになったことがない海洋島であるため、多くの固有種・希少種が生息・生育し、特異な島しょ生態系を形成している。小笠原への交通手段は海路に限られ、現在は定期航路として小笠原海運が運航する「おがさわら丸*」が東京都心との間を週1便でつないでいる。航海には片道24時間かかり、東京を出発した翌日に父島に入港し、父島で3泊停泊した後に東京に戻る。父島での滞在を終えて、父島の二見港を発つときのおがさわら丸の見送りは盛大で、島民の「いってらっしゃい」「また、来いよ」などのかけ声に、観光客は「いってきます」と応じ、いつまでも手を振り合う。人事異動の時期や卒業シーズンなど、島民が去るときの見送りはさらに活況を呈する。

みどころ
二見港の船客待合所にはじまり乗船、出港してからも、滞在期間中にお世話になった観光事業者らと名残を惜しむ。乗船後はただちにデッキに出て、船を見上げて見送る数多くの島民の中から、お目当ての人たちを探し、お互いに手を振り合う。出港の汽笛の音とともに岸壁を離れる船に手を振る様子に、再訪を誓うことになるだろう。出港時にプレゼントされたレイを海に投げ込み、そのレイが島の海岸に流れ着いたら、再訪がかなうともいわれている。船は次第に岸壁から離れていくが、お互いにみえているうちは、ずっと手を振り合っている。中には大声を張り上げる人もいる。青灯台岸壁からの見送りもあり、中には海に飛び込む島民もいる。さらにダイビング船やホエールウオッチング船などが見送り船としてしばらくおがさわら丸に併走し、見送り船に乗船した島民らと手を振り合いながら別れを惜しむ。フィナーレは、伴走船からの飛び込みで、足から海に落ちるもの、頭から飛び込む者、さらにはバク転しながら飛び込む猛者も見られる。こうした見送り風景は、国内随一だろう。

補足情報
*おがさわら丸:小笠原海運が運航する貨客船。本土と小笠原諸島を結ぶ、唯一の交通手段である定期航路。1979年に就航した初代おがさわら丸、1997年からの2代目おがさわら丸に続き、2016年より3代目おがさわら丸が就航中である。
関連リンク | 小笠原村観光協会(一般社団法人小笠原村観光協会)(WEBサイト) |
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参考文献 |
小笠原村観光協会(一般社団法人小笠原村観光協会)(WEBサイト) 日本で一番遠い島 母島 東京都小笠原 世界自然遺産(一般社団法人小笠原母島観光協会)(WEBサイト) 心、動く島。小笠原村観光局(一般社団法人東京諸島観光連盟 小笠原村観光局)(WEBサイト) |
2025年06月現在
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