三宅島溶岩地形みやけじまようがんちけい

東京・竹芝客船ターミナルから夜発の大型船に乗り最短で6時間30分の三宅島では、11世紀以降に少なくとも15回の噴火が記録されている。ここ100年間には4回の噴火活動が起きており、ダイナミックな火山地形を形成している。例えば、1940(昭和15)年の噴火では、三宅島中央に位置する雄山の北東山麓の標高200m付近からマグマが噴出して海までマグマが流れ出した。この噴火活動によって噴石丘の「ひょうたん山」が形成された。1962(昭和37)年の噴火は1940年と同じく雄山北東山腹で起きたマグマ噴火であり、多数の火口から溶岩が海中にまで流出した。この噴火活動によって噴石丘の「三七山(さんしちやま)」が形成された。1983(昭和58年)の噴火は雄山南西山麓から始まった割れ目噴火であり、溶岩流は3方向に流れ、阿古地区の住宅400棟が焼失するなど多大な被害を出した。この噴火活動によって噴火丘の「新鼻新山(にっぱなしんざん)」が形成された。直近の噴火は2000(平成12)年に起きた雄山山頂の噴火*1であり、この大規模な山頂噴火と噴火後の陥没の進行によって直径約1.6km、深さ約500mの巨大火口(カルデラ)が山頂に形成された*2。
 東日本火山帯に含まれる活火山の三宅島は、このように約20年周期で噴火を繰り返しており、島のあちこちで火口や小さな火山(火砕丘*3・スコリア丘*4)をみることができる。
#

みどころ

島内のいたるところで火山によって作られた特徴的な地形・地質をみることができ、島全体が天然の火山博物館のようである。パンフレット類が充実しているとともに、立ち寄りスポットごとに詳しい案内版が設置されているため、パンフレットで紹介されているモデルコースに沿って、マップをみながら1箇所ずつ訪ねてみると良い。レンタカーがあると便利だが、路線バスを利用して、エリアごとに歩いて散策するのもよい。専門のガイドに依頼して案内してもらうとより理解度が深まるだろう。
 代表的なスポットは、ひょうたん山*5、三七山(さんしちやま)*6、赤場暁*7、新鼻新山(にっぱなしんざん)*8、サタドー岬である。また、阿古地区では集落のすぐそばまで流れてきた溶岩群の中に火山体験遊歩道が整備されており、出航までの時間などを利用してゆっくり歩き、人の暮らしと火山活動の関わりなどを考察するのもよいだろう。
#

補足情報

*1 2000(平成12)年の噴火:2000年6月に火山性地震が頻発し、6月末から小規模な噴火が頻発する。8月には最大規模の噴火が発生し、9月1日より全島避難が決定され、4,000人余りの島民は島外での避難生活を余儀なくされた。2001年7月から10月にかけて一時帰宅が実施され、2005年2月に避難指示が解除された。また、2005年5月1日には観光客の受入が再開された。
*2 雄山山頂のカルデラ:2000(平成12)年の噴火によって形成された。陥没カルデラの形成過程が世界で初めて確認された貴重な噴火だといわれている。なお、雄山山頂部一帯は三宅村の条例により立ち入り規制区域となっており、観光目的で間近にこのカルデラを見ることはできない。
*3 火砕丘:火山活動で噴出した火山砕屑物が火口の周囲に積もり、丘を形成したものの総称。
*4 スコリア丘:火口から放出されるスコリア(ガスの抜けた穴が多数ある岩石のうち暗黒色のもの)が火口の周辺に降り積もってできた丘のこと。火砕丘の一種。
*5 ひょうたん山:島の北東部の海岸沿いに位置する。1940年の火山活動によって一夜で誕生した噴石丘。噴火口をトレッキングで一周できる。
*6 三七山:島の北東部の海岸沿いに位置する。1962年の噴火で誕生した噴石丘。頂上からは溶岩原と、ひょうたん山などが眺められる。
*7 赤場暁:島の北東部海岸沿いに位置する。このあたりは1940年噴火の溶岩流で入江が埋め立てられ、さらに1962年8月に雄山中腹から噴出した溶岩流が重なったところ。山腹から海岸はすべて赤黒い玄武岩質の溶岩や火山礫におおわれ、すさまじい光景である。
*8 新鼻新山:島の南部海岸沿いに位置する。1983年の最後に噴火した火口が作った火砕丘。
関連リンク 三宅島観光協会(一般社団法人三宅島観光協会)(WEBサイト)
参考文献 三宅島観光協会(一般社団法人三宅島観光協会)(WEBサイト)
「MIYAKEJIMA guide book」三宅島観光協会
「三宅島ジオMAP」三宅村観光産業課
各スポットに設置された案内版

2025年06月現在

※交通アクセスや料金等に関する情報は、関連リンクをご覧ください。