妻沼聖天山歓喜院めぬましょうでんさんかんぎいん

熊谷市の真北、妻沼集落の北西にある。『源平盛衰記』や歌舞伎の『実盛』物語で知られる斎藤実盛が、 1179(治承3)年に聖天堂を創建したのに始まり、次いで実盛の次男実長(阿請房良応)が別に歓喜院を開山したという。明治初年、一山すべて歓喜院所属となったが、中心は聖天堂である。
 聖天堂の本尊大聖歓喜天は弘法大師が唐より仏法の守護神として請来してから日本でも祀られるようになる。妻沼聖天様は日本最古の聖天像として知られ、特に縁結び・夫婦和合の神として信仰が厚い。諸堂は 1670(寛文 10)年に中門を残して焼失したが、再建され、約6万 6,000m2の境内には聖天堂*・仁王門・貴惣門*など、荘重な建物が立ち並んでいる。
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みどころ

縁結び夫婦和合をはじめ、家内安全、商売繁盛、厄除け開運、交通安全、学業進学などのあらゆる良縁に結んでいただけるので、祈願を篭める人があとを絶たない。
 「歓喜院聖天堂」は、建造物としては埼玉県唯一の国宝。聖天堂の彫刻には多くの動物・霊獣が配置されており、龍は70頭以上、猿は17頭。日光東照宮をほうふつとさせる、精巧かつ色彩豊かな本格的装飾建築である。
 彫刻には「大羽目彫刻」、「琴棋書画」、「布袋・恵寿・碁打ち、大黒・酒」、「梅竹に雪ころばし七人」、「すなどり七人に水・桃」、「猿と鷲」などの図像があるが、ガイドの説明を受けて、それぞれの意味を理解するとよい。
 参道の店で名物の稲荷寿司を味わうのも、参拝の楽しみの一つだ。(溝尾 良隆)
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補足情報

*聖天堂:1779(安永8)年の再建。本殿・相の間・拝殿よりなる権現造*、銅板葺の大堂で、桃山建築を思わせる壁面や細部の彫刻は見事である。
*権現造:桃山時代に起こった建築様式。本殿と拝殿を板敷の石間でつなぎ、一連の建物としたもの。そのため外部内部構造とも複雑になっている。
*貴惣門:歓喜院の山門で 1851(嘉永4)年の建立。3間1戸、側面2間。屋根は切妻造の変型で、1間通しの屋根を2つ並べた上に大屋根をのせ、銅板葺である。
関連リンク 妻沼聖天山歓喜院(WEBサイト)
参考文献 妻沼聖天山歓喜院(WEBサイト)
パンフレット「妻沼聖天山歓喜院」

2020年04月現在

※交通アクセスや料金等に関する情報は、関連リンクをご覧ください。