笠間焼かさまやき

手作りの素朴な味わいが身上の笠間焼は安永年間(1772~1781年)、近江信楽から陶工を招いたのが起こりで、笠間藩から保護され、主に日用雑器が作られた。幕末から明治時代にかけては江戸・東京の近郊である立地を生かし、大量生産により、とくに厨房用粗陶品の産地として全国に知られるようになった。しかし、第2次世界大戦後、プラスチック製品の普及などにより笠間焼の需要は減少し、一時は危機的な状況となった。そのような状況下、県立窯業指導所の設立など、官民一体となった取り組みがなされ、厨房用粗陶品から工芸陶器へ転換を図った。
 現在では、培われてきた伝統の上に新たな技法が加わり、「笠間火器」が開発され、土鍋や陶板など新しい商品も誕生し、約300人の陶芸家や窯元が活躍している。笠間焼の窯元、陶芸家のギャラリーは笠間駅の東側、やきもの通り、ギャラリーロード、陶の小径などに建ち並ぶ。ギャラリーロードの東側の丘陵地帯には笠間芸術の森公園*があり、笠間工芸の丘、茨城県陶芸美術館、笠間陶芸大学校など、笠間焼に関し理解を深め、鑑賞や体験ができる施設が点在する。
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みどころ

笠間焼が購入できる店舗はやきもの通り、ギャラリーロード、そして陶の小径を中心に軒を連ねている。
 やきもの通りは代々続く窯元の並ぶ通りで、大きな販売店や本格的な陶芸体験教室のある窯元が数多く並び、芸術の街らしさを感じることができる。陶の小径は工房直結のオリジナルショップが10軒ほどある小さな通りで、ぶらぶら歩きにはもってこいのスポット。笠間芸術の森公園周辺を囲むように位置するギャラリーロードは、アップダウンの全長約2kmの散歩みち。個性的で明るい雰囲気のお店が多く、カフェ、レストラン、笠間焼やガラスを扱うギャラリーなど、アートを楽しめる店が立ち並ぶ。
 現地で笠間焼の歴史などを知りたい場合は、茨城県陶芸美術館に立ち寄ると良い。また、笠間工芸の丘では、さまざまな作家の笠間焼を販売しているほか、市内の観光案内MAPや美術館等のイベント情報を得ることができる。(志賀 典人)
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補足情報

*笠間芸術の森公園:開園中の面積は35.9万m2。イベント広場、野外コンサート広場、水辺の広場、陶の杜、あそびの杜など、幅広い層の来訪者が楽しめるようになっている。また、隣接する笠間工芸の丘では、各種の陶芸展が開催されているほか、笠間焼の歴史・技法の紹介や販売、体験工房、カフェなどのスペースもある。園内の茨城県陶芸美術館では近現代の日本陶芸を代表する作家とその作品について所蔵品を中心に展示紹介しているほか、新進作家の作品を順次展示している。

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