国営ひたち海浜公園こくえいひたちかいひんこうえん

ひたち海浜公園は「海と空と緑が友達 爽やか健康体験」をテーマに、公園総面積350万m2、公開開園面積約215万m2という極めて広大な国営の公園である。公園があるこの地区は、第2次世界大戦前は旧日本陸軍の用地で、戦後は米軍の射爆撃場として利用されたのち、1973(昭和48)年に返還された。1979(昭和54)年に、この広大な土地と自然環境を生かし、「首都圏における増大かつ多様化するレクリエーション需要に応える」ため、公園を整備することになり、1991(平成3)年に第一期として約70万m2が開園した。公園の基本理念として「レクリエーション需要に応える」ことをはじめ、「自然環境の中に体験と活動の場を提供」することや「地方の文化を生かし、その振興に寄与できる」ことなどを据え、この地の特色ある、樹林、草地、砂丘、海浜、湧水地など自然環境を生かしつつ公園の整備を進め、現在に至っている。
 園内は「みはらしエリア」「樹林エリア」「草原エリア」「砂丘エリア」*「西口エリア」*「南口エリア」*「プレジャーガーデンエリア」の7つのエリアに分かれている。「みはらしエリア」の「みはらしの丘」*では、春には約530万本の青いネモフィラを、秋には真っ赤に紅葉するコキアを丘全体に植湧水池や沼沢もあり、散策や森林浴を満喫できる。「草原エリア」は、開放感あふれる広大な大草原や林間アスレチック広場、バーベキュー広場、四季折々の花であふれる大草原フラワーガーデンなど、自然と触れ合いながら、ファミリーやグループで楽しめるエリアになっている。「プレジャーガーデンエリア」には、観覧車「ブルーアイズ」、マウンテンスライダーをはじめ25種類以上のアトラクションがあり、レストランやショップも並ぶ。また、約120品種3,400株のバラが見事な常陸ローズガーデンやパークゴルフコース、水遊び広場、BMX コースなどもある。
 広大な園内には約11kmのサイクリングコースも整備されており、自転車*で見て回ることができる。また、園内を1周約40分で周遊するシーサイドトレインも走っている。また、毎年8月には「ロック・イン・ジャパン・フェスティバル」が開催され、全国から多くのファンが集まる。
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みどころ

日本軍、米軍の基地、訓練場であったことから、この公園のある場所は長期間にわたり一般の立ち入りが禁止されていた。このため、豊かな自然環境が保全されてきており、その地形や植生を巧みに活用、取り入れながら公園の整備がなされている。人工的なアミューズメントと自然をバランスよく配した公園で、自然を保全しつつ、入園者が自然と親しく触れ合うことができるような工夫が随所に見られる。
 この公園の特色ある自然のひとつは砂丘である。園内では、各地の海岸で消えつつある砂丘も自然に近い状態で残されており、全国的にも稀少な存在だ。この公園の沖は寒流と暖流のぶつかる場所であり、南方、北方の両系統の砂丘固有の動植物の生態系もみることができる。また、砂丘固有の貴重な生態系も残されており、汀から陸に向かって順に海岸砂丘性の植生からクロマツ林、アカマツ林へと連続的に変化する様子も観察できる。
ネモフィラやコキアはもちろん、バラ、スイセン、チューリップなどの植栽が広大な園地に巧みに配され、四季折々の草花を堪能することができる。
 自然観察、体験学習などのサポート体制も充実している。
 プレジャーガーデンエリアなどファミリーにとって一日を楽しく過ごすことができる施設、アトラクションが用意され、イベントも季節に合わせ準備されている。(志賀 典人)
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補足情報

*「砂丘エリア」:砂丘観察園路、ハーブガーデンの「香りの谷」、雄大な太平洋を望むガラス張りのカフェなど、静かに自然と親しむエリアだ。
*「西口エリア」:1万人収容の野外ステージやスイセンガーデン、26万本のチューリップであふれるたまごの森フラワーガーデンがある。
*「南口エリア」:メタセコイアの並木道や、広葉樹の紅葉が楽しめる泉の広場などが迎えてくれる。
*「みはらしの丘」:米軍の水戸射爆撃場の標的があった場所に建設残土を利用しながら造成した高さ30mの丘。3つの頂を有し、標高は58mでひたちなか市の最高地点となる。
*自転車:レンタルサイクルが用意されている。自転車の持ち込みも可能。