姥神大神宮渡御祭うばがみだいじんぐうとぎょさい

函館市の西、渡島半島の日本海に面した江差町の町中にある姥神大神宮*の例大祭で、毎年8月9日~11日の3日間に開催されている。ニシン漁で隆盛を極めていた文化・文政年間(1804~1830)のころ、豊漁を感謝、祈願して行われたのが始まりと言われている。姥神大神宮渡御祭は京都祇園祭に由来したもので、北前船が鰊を京都に運び、京都からは文化を乗せてきたことによる。
 祭りの3日間、祇園囃子の流れをくむ独特の調べとともに、13台の山車(やま)一行が町中を練り歩く。山車は赤朱と黒の漆塗りに、由緒ある人形、装飾品で飾られた絢爛豪華な作りである。
#

みどころ

祭りの見どころは豪華な山車13台の巡行で、樟を使った朱塗の山車の上に飾られた山車人形*が美しい。山車人形は楠木正成、水戸光圀などよく知られた人物や神様などで分かりやすく、見ていて楽しめるものとなっている。
 祭りのハイライトは2日目の本祭の下町巡行祭り囃子コンクールの審査で、各山車の演奏や掛け声に気合いが入る。またこの日の夜、全山車勢揃いの見せ場が商店街で行われる。電飾された13台の山車による祭り囃子の競演で山車の引き手、見物客も一体となる。
 姥神大神宮渡御祭を理解するには、江差山車会館*を訪れたい。山車の大きさや豪華さを実際に見ることができ、大型スクリーンで祭りの様子が映し出される。また13台の山車の写真もパネル展示されている。
 なお、山車の維持、管理などの保存活動は僅か百戸足らずの各町内会で賄うこととなる。自分たちの山車が一番という誇りが町内の結集を生み、また祖先が残した遺産に対する思いがある。
#

補足情報

*姥神大神宮:社伝では鎌倉時代の創建と伝えられ、北海道最古の神社と言われている。ニシン漁の守護神として、また江差の総鎮守として崇拝されている。ニシン漁を当地の漁民に教えた姥の伝説が名前の由来。
*山車人形:武者人形の武田信玄・楠木正成・大石良雄・水戸光圀・加藤清正・伊達正宗、神話人形の瓊瓊杵尊(ににぎみこと)・神武天皇・蛭子(えびす)、能面人形の神功皇后、文楽人形の日本武尊(やまとたけるみこと)、歌舞伎人形の武蔵坊弁慶など。
*江差山車会館:江差追分会館に併設されており、山車会館内には13台の山車(やま)の中から2台を1年交代で常設展示しており、大型スクリーンでは祭りの賑わいを見ることができる。また13台の山車の写真などのパネルもあり、山車人形の名前も知ることができる。