ペンケトー・パンケトーぺんけとー・ぱんけとー

阿寒湖温泉街の北東、直線距離で7~8kmに位置する二つの湖。ペンケトーは面積0.3km2、周囲長3.9km、透明度は15.9mで全国5位、下流のパンケトーは面積2.83km2、周囲長12.4km、透明度は11.3mで全国8位の透明度を誇る。
 数十万~15万年前の火山活動によってできた長径24km、短径13kmという広大な阿寒湖カルデラのなかの「古阿寒湖」が、約1万年前に雄阿寒岳の噴火による火山周縁部の沈降と噴出物で分断され誕生した堰止湖が、現在の阿寒湖と、パンケトー・ペンケトーである。ペンケトーの水はパンケトーに落ち、さらにイベシベツ川となって阿寒湖に注いでいる。
 パンケトーへの道はあるが、前田一歩園財団*の管理用の林道で一般車は侵入不可、徒歩でも入山許可が必要のため、国道にある双湖台※から俯瞰するのが一般的である。双湖台は国道241号で阿寒湖畔から弟子屈町方面に12.5km先にある展望台で、樹海の中に神秘の湖面を望み、手前がペンケトー、奥がパンケトーである。
 名前の由来はアイヌ語でペンケトーは上の湖、パンケトーは下の湖の意味である。
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みどころ

阿寒横断道路沿いに設置された展望台の双湖台からは、アカエゾマツなどが茂る大樹海の間に、手前ペンケトーと奥パンケトーの二つの湖と雄阿寒岳が眺望できるが、残念ながらパンケトーはごく一部しか望めない。ペンケトーは、北海道のかたちに見えることで有名。二つの湖をきれいに見るのであれば雄阿寒岳の頂上からとなる。
 ペンケトー・パンケトーの景観については、昭和初期の鉄道省による日本案内記でも「この一帯は処女地で原始林に囲まれて紺碧の水を湛へ、幽邃陰凄の神秘境をなして居る」と、その神秘的な湖の原始性を称えており、現在も自然保護されているため変わらずの姿を留めている。
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補足情報

*前田一歩園財団:前田正名(まえだまさな)が1906(明治39)年に国有未開地の払い下げを受けて、牧場として拓いたのが始まり。前田正名の座右の銘「物ごと万事に一歩が大切」から「一歩」をとって「前田一歩園」と名付けられた。その後、後世にまで阿寒の自然を残す目的で1983(昭和58)年に前田一歩財団が設立され、自然保護に関する多様な事業を現在も続けている。
*双湖台:昭和初期に発行された日本案内記北海道篇(鐵道省)によると、横断道路の双湖台近くから下りて両湖畔を歩いて阿寒湖までの約16kmの遊歩道が記されているが、現在は存在しない。

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