東御市は、長野県の東部にある市。北部は浅間連山の篭ノ登山、湯ノ丸山、烏帽子岳などが連なり、南面の緩傾斜地が千曲川沿岸まで広がる。これらの山々を水源として傾斜地を流下する所沢川、三分川、金原川、成沢川が千曲川の北岸に注ぎ、耕地は標高1000m以上まで開かれる。南部は標高700m前後の御牧原(みまきがはら)台地(東方)、八重原台地(西方)が展開、両台地の間を開析しながら北流する鹿曲川が千曲川の南岸に注ぐ。
 市域のやや南寄りを千曲川に並行してしなの鉄道、国道18号が通じる。その北側を上信越自動車道が走り、東部湯の丸インターチェンジがある。
 おもな市街、集落は千曲川の本流域に形成され、浅間連山の緩傾斜地や鹿曲川の段丘上にも集落が点在する。
 江戸時代に中山道と北陸道を結ぶ脇往還の北国街道(北国脇往還)が整備されると、市域に田中宿、海野宿が設けられた。田中、海野(本海野(もとうんの))の両地区は現在も市街を形成、旧態がよく残る海野宿の町並は重要伝統的建造物群保存地区に選定されている。
 八重原台地は江戸時代後期に、御牧原台地は明治期に入って開発が進んだ。基幹産業は農業で、ブランド米の八重原米のほか、和(かのう)地区を中心としたクルミ(オニグルミ)やブドウ(巨峰)、ジャガイモ(白土馬鈴薯)、トウモロコシ(スイートコーン)、ニンジン(薬用人参)などが特産。現在はインター東部流通団地や上川原、羽毛山(はけやま)の両工業団地の整備など、流通業や工業の振興にも力を注いでいる。
 浅間連山一帯は上信越高原国立公園の一部で、湯の丸高原や池の平湿原などを訪れる観光客も多い。特に湯の丸高原は、レンゲツツジの大群落、コマクサ、アヤメ、マツムシソウなど、多種類に及ぶ高山植物の宝庫で、フラワートレッキングの適地として親しまれている。

観光資源一覧

湯の丸高原レンゲツツジ群落の写真

湯の丸高原レンゲツツジ群落 (群馬県 嬬恋村 / 長野県 東御市 )

湯ノ丸山の地蔵峠付近標高1,600~2,100m前後とその山麓の高原に、6月下旬約60万株のレンゲツツジが開花する。レンゲツツジは群馬県の県花である。  この群落は明治時代に始まった牛の放牧により、湯の丸地域が草原化してできたといわれる。牛はレンゲツツジを食べないため、草原一面がレンゲツツジの花畑になったという。1956(昭和31)年...

千曲川(小諸周辺)の写真

写真提供:(一社)こもろ観光局

千曲川(小諸周辺) (長野県 小諸市 / 長野県 東御市 / 長野県 上田市 / 長野県 坂城町 / 長野県 千曲市 )

千曲川は山梨・埼玉・長野の三県にまたがる甲武信岳(こぶしだけ)に源を発し、全長214kmにわたる。八ケ岳・蓼科山・浅間山などの山々を縫って流れ、越後に入って日本一の長流 信濃川となる。  千曲川は長野県を象徴する川の一つ。佐久鯉を育むのも、戸倉上山田の温泉街を流れるのも、また川中島の戦いの舞台となったのも、この千曲川である。

海野宿の写真

海野宿 (長野県 東御市 )

東御市西部、田中駅の北西約1.5km。JR信越本線と千曲川にはさまれた河岸段丘にある町並み。徳川幕府によって開かれた脇往還「北国街道」*の宿場町で、現在でも東西約650mにわたり街道時代の町並みと遺構が残る。道路中央に設けられた堀割や、独特の格子戸や防火用の火返しを付けた民家が、当時とほぼ同じ姿で道路両側に軒を連ねる。

烏帽子岳の写真

烏帽子岳 (長野県 上田市 / 長野県 東御市 )

上田市、東御市の北東側にくっきりと見える、標高2,066mの双頭の山。浅間山から続く連峰の西側の最後部。緩やかな稜線の両端に二つの峰がとがっているので烏帽子*とよばれている。数万年前は湯ノ丸山とともに烏帽子火山群を成していた。そのためか、頂上北側は火口壁の名残でするどく切り立っている。  山頂からは北アルプスのパノラマ、...