塩尻市は、長野県中央部にある商工業都市。松本盆地の南端に位置する。三方を筑摩山地や木曽山脈の山々に囲まれ、桔梗ヶ原と呼ばれる火山灰台地上に市の中心部があり、台地上を木曽谷から北流する奈良井川や、田川が貫流する。東は岡谷市、西は朝日村、南は辰野町、北は松本市で、木曽方面は木祖村と接する。
 古くから諏訪と松本、松本と木曽谷、あるいは諏訪と木曽谷を結ぶ交通の要地で、近世は中山道と、伊那谷を北上する三州街道、善光寺参詣の北国西街道などが合流し、中山道の宿場として塩尻、洗馬、本山(もとやま)、贄川(にえかわ)、奈良井の5駅と、北国西街道の郷原駅が置かれた。現在はJRの中央本線と篠ノ井線、国道19号と20号及び153号の交点になっている。また長野自動車道が通り、塩尻と塩尻北のインターチェンジがある。
 中心集落は、中山道の旧塩尻宿の地区と、1902(明治35)年の篠ノ井線の開通で設置された塩尻駅の駅前集落に分かれ、駅前が中心商店街をなす。
 桔梗ヶ原の西部は戦国時代に武田氏と小笠原氏の戦場であった地で、明治になって入植開拓されたが、現在は県下第3位のブドウ産地である。ぶどう酒工場のほか、諏訪盆地からの精密工業の進出もみられる。
 宗賀地区の平出遺跡(ひらいでいせき)は縄文中期から奈良時代までの住居跡で、国指定史跡。出土品を展示する平出博物館がある。中山道沿いの堀内家住宅は18世紀後半、片丘地区の島崎家住宅は17世紀後半の、ともに本棟造の民家で国の重要文化財。ほかに塩尻宿の旅籠であった小野家住宅、片丘の小松家住宅も国指定重要文化財。郷原宿にも本棟造りの家並みが残る。東部の高ボッチ山一帯は高原をなし、八ヶ岳中信高原国定公園の一部。

観光資源一覧

奈良井宿の写真

奈良井宿 (長野県 塩尻市 )

中山道六十九次のうち、江戸から数えて34番目の宿場で、江戸時代には奈良井千軒といわれたほど賑やかな宿場町であった。現在もJR奈良井駅の南西、旧街道沿いに庇(ひさし)の深い2階建、猿頭*、黒い千本格子の民家がつづいている。創業230年という旅籠越後屋など、町並みは往時の街道・宿場情緒を偲ばせる。西に難所といわれた鳥居峠をひか...

漆工町 木曽平沢の写真

漆工町 木曽平沢 (長野県 塩尻市 )

漆工町「木曾平沢」は、木曽谷の入口に位置する贄川と奈良井の中間にある集落で、輪島や会津若松とともに日本有数な漆器産地の一つ。  木曽の豊かな大森林で育った、木曽ヒノキ、サワラなどの良材や、海抜およそ900mに位置し、夏は涼しく冬は寒く、年間湿度が高いという気候が漆を塗る環境に適し、中山道の街道文化とともに産業として発展...