美馬市は、県中北部に位置し、南部は剣山国定公園の指定域。三好市、阿波市、吉野川市、つるぎ町、神山町、那賀町、香川県高松市、さぬき市、まんのう町、三木町と接する。
 市の中央部北寄りを吉野川が東流する。市域の南端近くに四国山地の主峰剣山がそびえ、四国有数の清流、穴吹川が貫流して吉野川に注ぐ。市域の約8割は山林で、河川沿岸の平野部が主な可住地となっている。
 吉野川の南岸に沿ってJR徳島線、国道192号(伊予街道)が、北岸の讃岐山脈の南裾部を徳島自動車道が横断し、脇町、美馬の2つのICがある。ほかに国道193号、438号が通じる。
 古来より県西部の政治経済の中心地として栄えてきた地域で、戦国時代には、岩倉城や脇城は細川氏にかわって台頭した三好氏の拠点となった。脇城は蜂須賀氏により阿波九城の一つとなり脇町はその城下町として栄え、脇城廃城後も阿波国中北部の商業・流通の拠点として繁栄した。
 現在の主産業は農林畜産業で、米作、蔬菜栽培のほかにユズ、ブドウ、ハッサクなどの果樹、シンビジウムなどの花卉の栽培、養鶏などが盛ん。江戸期以来、和傘製造が行われていたが、昭和30年代後半頃から衰退、現在は伝統工芸品として生産されている。
 2古墳からなる段の塚穴(国指定史跡)、法起寺式伽藍配置を持つ白鳳期創建の寺院跡である郡里廃寺(国指定史跡)等の史跡がある。また、江戸時代に多くの藍商が店を構えて栄えた脇町市街は本瓦葺・大壁造の重厚な構えと装飾的な「うだつ」(隣家の境界に設けられた土造りの防火壁)を備えた特徴的な商家が多く残り、「うだつの町並み」(江戸中期~昭和初期の85棟)として1988(昭和63)年、一帯が国の重要伝統的建造物群保存地区に選定された。この他、民家としては県内最古の江戸時代初期の建築と推定される木屋平地区の三木家住宅は国の重要文化財に指定されている。

観光資源一覧

剣山の写真

剣山 (徳島県 三好市 / 徳島県 那賀町 / 徳島県 美馬市 )

徳島県西部に位置し、四国の屋根といわれる剣山地の主峰。標高1,955mは四国では石鎚山(いしづちさん)に次ぐ高峰であり、西日本で2番目に高い山である。古くから山岳信仰の山として昭和初期まで女人禁制が堅守されていた。名前の由来*は壇ノ浦の戦に敗れた平家の落武者が、祖谷にのがれる際、安徳天皇の剣を隠したことによるという。山名に...

脇町南町のうだつの町並みの写真

脇町南町のうだつの町並み (徳島県 美馬市 )

JR徳島線穴吹駅から車で約10分。脇町は、江戸時代の初期、脇城の城下町として建設された。一城令(1615(慶長20・元和元)年)により脇城が廃城となったあとも、吉野川の水運を利用した阿波藍の集散地として発展した。1889(明治22)年の市町村制施行時には、人口において、徳島・撫養(鳴門市)につぐ県内第3の町であった。  江戸時代中期...