鹿児島県南部に位置する奄美群島は、鹿児島市の南西約370~560kmの範囲に広がる有人8島(大島本島、喜界島、徳之島、沖永良部島、与論島、他3島)の総称。奄美市は、その奄美大島の北部に位置する群島の拠点都市で、北東は龍郷町、西は大和村、宇検村、瀬戸内町と接する。南は太平洋に、北は東シナ海に面している。龍郷町東部には飛び地がある。
 飛び地の北部は山の少ないなだらかな地形で、美しい海岸線を有している。奄美市南部は大半を山岳部で占めており、学術的にも貴重な動植物が生息している。市内の最高峰は金川岳で、主な河川は住用川、役勝川などがある。
 中心市街地は中北部の名瀬湾奥にあり、三方を山が囲む。江戸時代薩摩藩の代官所が置かれ、島の中心として発展。第2次世界大戦後アメリカ合衆国の軍政下に置かれたが、1953(昭和28)年、日本に復帰。大島支庁や裁判所など国や県の出先機関が集中する。
 国道58号線が通るほか、北東部飛び地の沿岸に奄美空港がある。
 農林業が主で、サトウキビや果樹、野菜、花卉栽培が盛ん。大島紬の生産の中心地で、大小の織物工場や染色工場がある。
 観光面では、高い透明度が自慢の“アマミブルー”の海が特徴的である。また、奄美市住用町に広がるマングローブ林は日本第2位の規模を誇る。海岸の大部分と住用川河口のマングローブの群落などは奄美群島国立公園に属する。
 島人の喜び・悲しみを島の方言でうたいあげた「島唄」は、独特のこぶしと高い裏声が特徴。チヂン(太鼓)をたたき、輪になって唄い踊る「八月踊り」や、祝いの場の締めくくりの定番「六調」踊りも特徴的。伝統行事の多くは旧暦で行っており、各集落ごとに今も続けられている。
 笠利町宇宿の泉家住宅は国の重要文化財、宇宿貝塚は国の史跡に指定されている。

観光資源一覧

住用のマングロ―ブ林の写真

写真提供:公益社団法人 鹿児島県観光連盟

住用のマングロ―ブ林 (鹿児島県 奄美市 )

マングローブは熱帯・亜熱帯の河口汽水域に生育する耐塩性植物の総称であり、それによって形成される林のことをマングローブ林という。  奄美空港から車で約70分南下した奄美市住用町に広がるマングローブ林は、住用川と役勝川(やくがちがわ)が合流する地帯にあり、沖縄県西表島に次いで日本で二番目に大きい。構成種はオヒルギとメヒル...

田中一村記念美術館の写真

写真提供:田中一村記念美術館

田中一村記念美術館 (鹿児島県 奄美市 )

1977(昭和52)年に奄美大島で69年の生涯を終えた日本画家・田中一村の作品を常設展示する美術館。奄美大島に19年間住むなかで完成させた彼の代表作ともいえる作品「不喰芋と蘇鐵」(くわずいもとそてつ)、「初夏の海に赤翡翠」(しょかのうみにあかしょうびん)、「海老と熱帯魚」などをはじめ、幼少期の南画に始まる彼の生涯にわたる一連...

金作原原生林の写真

写真提供:公益社団法人 鹿児島県観光連盟

金作原原生林 (鹿児島県 奄美市 )

奄美市名瀬の市街地から車40分ほどのところにある原生林。イタジイ、イジュ、ヒカゲヘゴなどの亜熱帯特有の植物を観察しながら林道を歩くことができる。ルリカケスなど奄美の固有種である貴重な生物に出会えることも。  金作原原生林では、貴重な自然環境の保全のため、2019(平成31)年2月から「奄美群島認定エコツアーガイド(有料)」の...

あやまる岬の写真

写真提供:奄美市紬観光課

あやまる岬 (鹿児島県 奄美市 )

空港の北側の太平洋に突き出した岬で、奄美大島を代表する景勝地である。ゆるやかな起伏があやに織りなす毬(まり)のようであるところから、アヤマルの名が付いたといわれる。